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サイト構成によってはPHP7が効果的?wpXでWordPressの表示速度を測定

エックスサーバー社のwpXはPHP7に対応しています。PHP7はPHP5と比較して実行速度やメモリ管理が大幅に改善されており、PHPで稼働するWebサイトのレスポンスを向上させます。 最近ではPHP7対応のレンタルサーバーが増えており、今後の標準となるでしょう。

前回はPHP5で稼働するWordPressサイトの表示速度を測定しましたが、PHP7での結果も気になるところです。そこで今回はPHP7での測定結果を掲載します。

この測定結果はwpXレンタルサーバーのものですが、姉妹サービスであるwpXクラウドも性能的には同等(以上)であり、この結果が参考になるでしょう。

Webサイトの表示速度の影響
レンタルサーバーを選択する際、大切なポイントは「Webサイトの表示速度」です。いくら豊富な機能に対応しても、運営サイトのレスポンスが悪ければ絵に描いた餅です。訪問者を自分に置き換えれば、なかなか開かないページにイライラすることは想像に難くないでしょう。そして、レスポンスの悪さは検索順位にも悪影響です。
wpXレンタルサーバーの全てが分かる
wpXレンタルサーバーのレビュー
wpXクラウドの全てが分かる
wpXクラウドのレビュー

表示速度の重要性

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱(データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境(スマートフォンなど)ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります

快適なWebサイトの条件は、「最低でも3秒以内」「理想は2秒以内」のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC
hostingstockの測定結果について
端末(パソコンやスマートフォン)のレンダリング等の処理時間を含みません。理由は訪問者の端末性能やブラウザの種類により、処理時間が大きく異なるためです。つまり、測定結果はWebページを構成するデータを受信するために必要な時間を示しています。実際にWebページが表示されるまでには、HTML解析やJavaScript処理などを含む描画時間が加算されます。

測定方法

測定用サーバーから定期的にアクセスして、Webページの取得に要する時間を測定します。測定対象として「WordPress(動的ページ)」と「HTML(静的ページ)」があります。より詳しい内容は こちら を参考にしてください。

測定対象  
動的ページ(WordPress) WordPressサイト(PHP&データベース)。コンテンツは平均的なウェブページの構成を採用(HTTP Archiveの統計データを利用)。
静的ページ(HTML) HTMLファイルによるサイト。WordPressが生成したデータをHTMLファイル化。PHPとデータベースを使用しません。
外部サービスを利用しない理由
PingdomやGTmetrixでレンタルサーバーの性能を評価しても意味がありません

測定期間

測定期間は 7日間 であり、5分ごとに2回の測定を行います。つまり、「7日×24時間×12回(60/5)×2回」の約4,000回となります。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「利用者や訪問者が測定時だけ少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者や訪問者が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、訪問者が多くなり負荷が高くなる夜間と、負荷の下がる深夜との差が小さければ、負荷に強いサーバーであることを推測できます。

測定経路

wpXは姉妹サービスであるXSERVERなどと同様に、さくらインターネットの大阪データセンターで運用されています。ネットオウルやSova WPでも採用されており、高性能かつ安定性のある高品質なデータセンターです。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(インターネットプロバイダ)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定環境
測定用サーバーは 測定専用 として、測定以外に利用していません。
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターとサーバーは有線接続

測定結果

  WordPress
PHP7/CGI
HTML
(PHP7/CGI)
WordPress
PHP5/CGI
HTML
(PHP5/CGI)
有効測定 4,031回 4,031回 4,032回 4,032回
棄却検定除外 1.64% (66) 1.91% (77) 2.46% (99) 0.15% (6)
棄却検定閾値 0.59秒 0.55秒 0.50秒 1.40秒
エラー 0% (0) 0% (0) 0% (0) 0% (0)
3秒以上 0% (0) 0.17% (7) 0.02% (1) 0.02% (1)
中央値 0.21秒 0.21秒 0.22秒 0.54秒
平均値 0.24秒 0.24秒 0.24秒 0.43秒
ばらつき/標準偏差 0.07秒 0.06秒 0.05秒 0.20秒
変動係数 29.17% 25.00% 20.83% 46.51%
測定結果について
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定Grubbs' test(α=0.001)により省いています。これはネットワークを含む測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
ばらつき(標準偏差)は、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。ばらつきが小さいほどレスポンスが安定します。
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が近い場合、変動係数が小さいほど安定します。
WordPress(動的ページ)とHTML(静的ページ)をペアで測定しており、表のHTMLにあるPHPなどの表記は、組み合わせを示します。WordPressとHTMLとの差が、PHPやデータベースの処理性能を示します。

wpXレンタルサーバーの評価

予想通りの結果ですが、PHP7に変更したところでレスポンス性能は変化しません。キャッシュ機能により、PHPやデータベースの処理が(ほとんど)発生しないからです。

PHP5の結果は数ヶ月以上前のものです。サーバーが異なっても同等の性能を維持しており、共用サーバーながらも「あたりはずれ」はないようです。

HTMLの測定はイレギュラーなアクセス方法なので意味のない結果ですが、前回と比較して改善されています。おそらく前回はサーバー側の設定に問題があったのでしょう。この結果から分かることは、WordPressであっても静的ページ(HTML)と同等のレスポンスがあるということです。

キャッシュだから当然の結果と思うかもしれませんが、キャッシュを無効にしてもトップクラスの性能です。そもそも採用しているハードウェア性能が非常に高いため、キャッシュ機能がなくても並のレンタルサーバーでは比較にならないほどの基本性能を備えています。

今回の比較ではPHP7の優位性を判断できませんでしたが、ベンチマークでは確実に実行速度が向上することを確認できています。例えば、アクセスの度にコンテンツの動的な生成が必要なページなど、キャッシュ対象外となるページの多いサイトならPHP7を選択するべきでしょう。

Z.com、COREPRESS Cloud、エックスサーバーとの比較

  wpX
PHP7/CGI
Z.com
PHP5/FPM
COREPRESS Cloud
PHP5/FPM
XSERVER
PHP7/FastCGI
有効測定 4,031回 4,032回 4,032回 4,028回
棄却検定除外 1.64% (66) 1.09% (44) 1.04% (42) 0.77% (31)
棄却検定閾値 0.59秒 0.75秒 0.66秒 0.91秒
エラー 0% (0) 0% (0) 0% (0) 0% (0)
3秒以上 0% (0) 0.17% (7) 0.17% (7) 0% (0)
中央値 0.21秒 0.35秒 0.37秒 0.40秒
平均値 0.24秒 0.37秒 0.38秒 0.40秒
ばらつき/標準偏差 0.07秒 0.08秒 0.05秒 0.12秒
変動係数 29.17% 21.62% 13.16% 30.00%
測定結果について
記事作成時、Z.comとCOREPRESS CloudはPHP7に非対応です。

それでは他社サービスと比較してみましょう。

比較対象は同じWordPress専用サーバーのZ.com WordPressサーバーとCOREPRESS Cloud、そして汎用的なXSERVER(エックスサーバー)を加えています。

数値を詳細に比較せずともwpXが抜群に優れていることが分かります。誰でも契約できる一般サービスの中ではという条件は付きますが、WordPressを運用するなら間違いなく最高性能のサービスでしょう。初心者にも優しい使い勝手の良いコントロールパネルやWordPress専用としては珍しくメール機能に対応するなど、誰にでもおすすめできます。

Z.comとCOREPRESS Cloudは料金体系が異なるだけであり、仕様的(内部的)には同じサービスです。これらもWordPress専用のキャッシュ機能を備えており、トップクラスのレスポンス性能となっています。しかし、キャッシュ機能のないエックスサーバーと同等の結果であり、どうしても必要な機能がなければ選択する必要はないように思えます。

「WordPressしか利用する予定がない」「WordPressの最高性能を引き出したい」という目的であればwpXを文句なしにオススメします。WordPress以外のアプリケーションも利用したいのであれば、エックスサーバーを選択するとよいでしょう。

各サービスの公式サイト
  wpXレンタルサーバー / Z.com WordPress / COREPRESS Cloud / エックスサーバー

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450
注意
最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果(表のデータ)が異なる可能性があります。

未加工データ

  WordPress
PHP7/CGI
HTML
(PHP7/CGI)
WordPress
PHP5/CGI
HTML
(PHP5/CGI)
3秒以上 0% (0) 0.17% (7) 0.02% (1) 0.02% (1)
中央値 0.21秒 0.21秒 0.22秒 0.54秒
平均値 0.25秒 0.27秒 0.25秒 0.43秒
ばらつき/標準偏差 0.10秒 0.61秒 0.13秒 0.21秒
変動係数 40.00% 225.93% 52.00% 48.84%

測定結果について
レンタルサーバーは1つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。測定結果はその中の1つに過ぎません。契約時期で割り当てられるサーバーのスペックは異なり、さらに、同じサーバーに収容される他契約者の負荷に大きく左右されます。

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