VPSを基盤としたレンタルサーバーZenlogicは本当に安定しているのか?

Zenlogic(ゼンロジック)はファーストサーバが運営するハイスペックレンタルサーバーです。Zenlogicの大きな特徴は「VPSを基盤とした安定性重視の共用レンタルサーバー」ということです。VPSの詳細は省きますが、Zenlogicではユーザー毎に専用の仮想サーバーが割り当てられます。サーバーを専有できるため、多くのユーザーでシェアする一般的なレンタルサーバーと比較して他ユーザーの影響を受けにくく、ウェブサイトの安定運用が可能です。Zenlogicの詳細についてはレビューをご覧ください。

公式サイトでは「高い安定性」を謳っていますが、実際はどうなのでしょう?この記事ではZenlogicの処理性能を評価した結果を掲載します。サーバーの処理性能はレスポンス性能や安定性能に大きく影響するため、レンタルサーバー選びでは重要な要素です。

測定方法

WordPressをインストールしたウェブサイト(サーバー)を利用します。

  • 「ランダムな3,000文字/記事」の投稿と削除
    • 100記事をまとめて投稿、投稿後に全削除
    • 1記事ごとの生成処理を含む
  • 投稿と削除はWordPressの標準関数を利用
    • wp_insert_post、wp_delete_post

これらの処理を 5分間隔 で実行し、一連の処理時間を測定します。つまり、 PHPとデータベースの処理性能 を確認します。データセンター内(またはサーバー内)で完結する処理なので、ネットワーク環境の影響を受けません。

負荷について
100件程度は大した負荷ではありません。しかし、共用サーバーなので高負荷とならないように、1件ごとにwait処理を差し込んでいます。

測定結果

結果 有効測定数 除外数 棄却閾値 エラー 中央値 平均値 ばらつき
Raw (未加工) 862回 - - 0%
(0回)
3.19秒 3.22秒 0.26秒
棄却検定 0.93%
(8回)
3.69秒 3.18秒 3.20秒 0.11秒
測定結果
72時間 (3日間) の測定結果です。X軸は時刻(0時~24時)を表し、各時刻の値は3日間の平均値です。有効測定数はエラーを省いた実測定数です。
棄却検定
測定のタイミングによりサーバーの負荷状態 (混雑具合) が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs' test (α=0.001) により省いたデータも掲載しています。
ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、処理の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど処理性能が安定しているといえます。

Zenlogicの評価

「謳い文句に偽りなし」という結果となりました。

グラフを見れば一日を通して処理性能が安定していることが分かります。訪問者や利用者が多くなるであろう夜間帯であっても変動しません。他のレンタルサーバーであれば、同居人(同じサーバーをシェアするユーザー)のサイトに多くのアクセスがあればサーバーに負荷がかかり、その結果他のサイトのレスポンスが悪化します(最悪の場合エラーが発生)。

Zenlogicは仮想的なサーバーを専有しているため、他のサイト(ユーザー)からの影響を受けにくい仕組みとなっています。この測定結果からもその効果がわかり、ばらつきの小ささから処理性能に余裕があることも確認できます。

この測定結果は最廉価プラン(1vCPU/1GB)の結果であり、個人で利用するなら十二分な性能でしょう。他のレンタルサーバーと比較して利用料金が高いように思えますが、以下の様な特徴があるため一つのサーバーで様々な用途に対応できます。

  • ディスク容量が大容量(1TB)
  • 転送量が無制限
  • データベース、マルチドメイン(条件付き)、メールアドレス、cron、FTPアカウント、それぞれ無制限
  • いつでも上位プランへ移行可能(引っ越し作業不要)

上位プランへ即時変更できるため、最初は最廉価プランで契約しておき、スペック(vCPU/メモリ)が不足するようであれば上位プランへ移行するとよいでしょう。

最廉価プランでさえ、他のレンタルサーバーと比較して上位グループに入る性能があります。安定性を重視するレンタルサーバーを探しているならZenlogicは一つの選択肢となるでしょう。

iCLUSTA+、エックスサーバーとの比較

  Zenlogic iCLUSTA+ エックスサーバー
有効測定数 862 864 864
棄却検定除外 0.93%(8) 0.35%(3) 0.23%(2)
棄却検定閾値 3.69秒 8.70秒 6.46秒
エラー 0%(0) 0%(0) 0%(0)
中央値 3.18秒 5.92秒 3.91秒
平均値 3.20秒 6.05秒 4.00秒
ばらつき 0.11秒 0.58秒 0.63秒
変動係数 3.4% 9.6% 15.8%

GMOクラウドのiCLUSTA+、人気の高いエックスサーバーと比較してみましょう。

エックスサーバーもミドルクラスのサーバーとしては高性能と言われていますが、それなりに処理性能がばらつきます。iCLUSTA+については全体的に処理性能が低いようです。

ばらつき(標準偏差)を比較してもよいですが、ここでは変動係数(相対標準偏差)を利用しましょう。エックスサーバー(0.63)とiCLUSTA+(0.58)のばらつきに大きな差はありませんが、変動係数で比較するとエックスサーバーのばらつきがより大きいことになります。ただし処理性能に大きな差があるため、ばらつきを含めてもエックスサーバーが優れていることに変わりはありません。Zenlogicは比較するまでもなく、処理性能も安定性(ばらつき)も優秀であることが分かります。

これらの結果からZenlogicが抜群に安定していることがわかります。さらに基本的な処理性能(処理速度)も両サービスを上回るため、高い安定性と処理性能のレンタルサーバーを検討しているのであればZenlogicはおすすめのサービスです。

比較対象レビュー
【レビュー】エックスサーバー
【レビュー】iCLUSTA+

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト 環境 平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %

1.71.670.070

PHP7/CGI

1.821.830.220

1.941.950.070

PHP7/CGI

2.0220.140

PHP7

2.152.120.321

2.162.170.080

PHP7

2.172.130.240

2.182.150.30

2.242.250.280

PHP7/FastCGI

2.282.230.250

PHP5/CGI

2.42.410.270

PHP5/CGI

2.412.390.150

2.522.430.330

PHP7

2.712.680.348

2.722.660.3735

PHP7/FastCGI

2.732.70.30

PHP5/FastCGI

2.732.680.270

2.862.860.090

PHP5

3.032.960.380

3.13.150.310

PHP7/Module

3.113.120.080

PHP&MySQL

3.113.010.330

3.133.140.070

PHP5/FastCGI

3.143.090.210

3.142.90.630

3.142.960.680

PHP7/CGI

3.193.190.130

3.23.180.110

PHP5

3.513.470.398

PHP5/FastCGI

3.613.60.40

3.643.60.290

WordPress

4.183.891.090

PHP7

4.224.070.470

4.224.270.30

4.424.430.180

4.54.470.580

PHP5/CGI

4.564.450.560

PHP5

4.964.860.450

PHP5/Module

5.124.960.80

PHP7

5.164.242.230

5.184.691.240

5.255.210.320

PHP7

5.255.170.370

5.315.320.110

PHP5

5.315.230.560

PHP7

5.675.520.740

5.715.590.450

PHP5

5.885.80.360

6.055.920.580

PHP5

6.455.152.640

PHP5

6.456.330.770

6.526.490.760

PHP5/FastCGI

6.646.670.330

6.96.910.130

ライト

7.416.932.160

8.37.313.550

14.49.341461

hostingstock.netで測定した他レンタルサーバーとの比較です。

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

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