ドメインキングのレスポンス性能や安定性を評価する

この記事の内容は古いため現状と異なる可能性があります。新しい記事も参考にしてください。

レンタルサーバーを選ぶ基準は何でしょうか?料金や使いやすさもありますが、最も重要な基準はレスポンス(速度)と安定性です。いくら料金が安くてもレスポンスが悪ければ、アクセスしてきた訪問者が帰ってしまいます。

測定方法

測定方法については、下記のページを参考にしてください。

レンタルサーバー性能の測定方法を変更しました

測定期間

2015年2月6日から 14日間

測定ポイント

サーバー(データセンター)の所在地については、下記のページを参考にしてください。

家庭用回線とデータセンターからの測定となります。家庭用回線は測定中であってもサーバー以外のPCでYouTubeを見たりファイルをダウンロードしたりと普通の使い方をしており、実環境と似た結果が得られると思います。

  • 家庭用回線の測定環境
    • eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
    • ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

10秒以上の結果は、ばらつきを大きくするのでグラフ化のデータから省いています。10秒以上のデータについては、測定結果の表を確認してください。

  • 測定回数: 実行総数
  • 測定失敗: ダウンロードが失敗した割合
  • 3秒以上: ダウンロードに要した時間が3秒を超えた割合
  • 10秒以上: ダウンロードに要した時間が10秒を超えた割合
  • 平均時間: ダウンロードに要した時間の平均値
  • ばらつき: 母標準偏差(グラフ上の値は標本標準偏差)

eo光(家庭用回線)からドメインキング

  動的サイト 静的サイト
測定回数 8,160 8,160
測定失敗 1.41%(115) 0.36%(29)
3秒以上 16.8%(1374) 11.6%(944)
10秒以上 0.65%(53) 0.31.%(25)
平均時間(秒) 2.24 1.73
ばらつき(秒) 1.20 1.18

ドメインキングの評価

明らかに夜間帯にレスポンスが低下することがわかります。夜間はインターネット利用者が増加するので、どのレンタルサーバーであっても同じような傾向はあります。それでもドメインキングのレスポンスの低下は極端と感じますし、ばらつきも大きいようです。夜間帯になるレスポンスが3秒前後となるので、訪問者は少し待たされる感じはあるでしょう。

快適なWebサイトの条件として3秒以内のレスポンスを基準とする調査結果もあるので、シビアなWebサイトの運営には向きません。

調査では、3秒を過ぎると57%のユーザーがしびれを切らし、訪問を諦めることがわかった。どんなに美しいサイトを作ったところで、3秒以内に表示されなければユーザーの目に触れるチャンスすらないということになる。

3秒が許容範囲 - Webサイトのパフォーマンスが重要な理由 | マイナビニュース

PHPやデータベースを利用しても安定している

動的サイトと静的サイトのレスポンスの差が0.5秒程度と大きな差がありません。WordPressの標準テーマを利用しているので、あまり複雑な処理が入らないこともありますが、PHP等のスクリプト処理が入ると極端に遅くなるレンタルサーバーもあることを考慮すれば優秀な結果といえます。

ただし元々のレスポンスが良くないので、スクリプトやデータベースの処理時間の影響が目立たないともいえます。

多すぎるエラーの原因

参考値のためにエックスサーバーからも測定していますが、動的ページの測定時にエラーが多発しています。エラー総数521件の内訳は以下の通りです。

エラー数 内容
499 HTTP status code: 500 - データベース接続エラー(サーバートラブル97件を含む)。
22 タイムアウトなど。

HTTP status code:500は、よく Internal Server Error と表示され、サーバー内部でのエラーを示します。このうち97件は、以下のサーバートラブルが原因となっています。

家庭用回線からの測定でも、115のエラーの内、92件が上記のサーバートラブルの影響です。

では、残り402件のエラーの原因を探ると、どうやら同じサーバーを利用している他のユーザーのCron(タスクスケジューラ)に問題がありそうです。正確に時間を調べると、エラーが起きるタイミングが毎時0分直後と、30分直後だけです。

おそらく、他のユーザーが高負荷のタスクを実行しているのでしょう。毎時0分や30分からずれている家庭用回線からの測定ではほとんど見られません。

この原因を除くと、エラー数は以下の通りです。エラーの内容は、タイムアウトや何かしらの原因でファイル取得に失敗したことを表します。

  動的ページ 静的ページ
家庭用回線 21(0.26%) 29(0.36%)
XServer 22(0.27%) 30(0.36%)

サーバートラブルと他のユーザーの影響を除いてもエラーが多いように感じますが、訪問者がブラウザをリロードすることで対処できる程度でしょう。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

まとめ

  • 夜間帯になると極端にレスポンスが低下します。また、全体的にばらつきが大きく安定しているとはいえません。
  • 約17%(静的サイトは約12%)のレスポンスが3秒を超えることがあります。この結果は夜間帯が占めるので、日中だけなら十二分なレスポンス性能ではあります。
  • 同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷の影響を受けやすいといえます。こればかりは契約してみないと分かりませんし、このような測定をしない限り気づかないかもしれません。

データベースが負荷に弱かったり、夜間帯にレスポンスが低下する点が気になります。少しトラブルが多いような気がしますが、料金を考慮すれば明確な転送量の制限もなくコストパフォーマンスのよいレンタルサーバーともいえます。途中でプランを変更することも可能なので、最も安いプランを借りてみるのも良いでしょう。

参考値:エックスサーバーからドメインキング

  動的サイト 静的サイト
測定回数 8,160 8,160
測定失敗 6.38%(521) 0.36%(30)
3秒以上 1.96%(160) 1.53%(125)
10秒以上 0.11%(9) 0.04.%(3)
平均時間(秒) 0.97 0.45
ばらつき(秒) 0.53 0.57

測定結果の妥当性

レンタルサーバー間の測定で何を見るかというと、 時間帯の負荷状況静的サイトと動的サイトの差 です。基幹網(バックボーン)の接続となるためレスポンスを家庭用回線と比較しても意味がありません。それでも、家庭用回線による 測定結果の妥当性の確認 には利用できます。例えば、エラーや大きな遅延が同じタイミングで発生していれば、サーバーに問題があることが分かります。

回線速度や処理速度の違いはありますが、家庭用回線とエックスサーバーからの測定でここまで差がつく理由は不明です。この結果だけ見ると高価格帯のレンタルサーバーを上回るレスポンスですが、実際に利用してみてもここまでのレスポンスはありません。

同時期に測定して同じタイミングでエラーが発生しており、他の条件からも測定結果に間違いはありません。おそらくアクセス元によって転送量の帯域を変化させているような気がします。

更新履歴  
2015年3月25日 構成を変更
2015年5月1日 リンクを修正

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