改善されたレスポンス性能、PLESK12採用ドメインキングの新サーバー

この記事の内容は古いため現状と異なる可能性があります。新しい記事も参考にしてください。

ドメインキングでは2015年11月頃に新コントロールパネル「PLESK 12」を採用したサーバーが増設されました。既存のユーザーに対してもサーバー変更受付の案内が届いていると思います。現サーバーに対して不満はありませんでしたが、「新しいコントロールパネルを試してみたい」「レスポンスが改善されるかもしれない」ということもあり、新サーバーに変更してみました。

コントロールパネルが変更されただけで、サーバーの仕様 (スペック) 自体は同じかもしれません。ただ、サーバーを管理するPLESKが新しくなったことで、設定は変更された可能性はあります。実際にサイトのレスポンスを測定して、PLESK11採用の旧サーバーと比較してみましょう。

ドメインキングの詳細については、下記レビューをご覧ください。

測定方法

測定用サーバーから定期的にアクセスして、Webページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。

動的ページ
WordPress によるサイト(PHP&データベース)
コンテンツは平均的なWebページの構成を採用 (HTTP Archiveの統計データより)
静的ページ
htmlファイルによるサイト
WordPressが生成したデータをhtmlファイル化

測定期間

測定期間は 7日間 です。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果を出すことが (完全ではありませんが) 防げます。

一定期間測定することで、利用者数 (訪問者数) が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

ドメインキングのサーバーですが、いまいち所在地がはっきりとしません。あくまでも当サイトの調査による推測ですが「静岡県焼津市」にあるTOKAIコミュニケーションズの「Broad Center」と呼ばれるデータセンターで運用されているようです。もしくは、関東圏内といったところです。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX (インターネットエクスチェンジ) 等を含みます。測定元はK-Opticom (インターネットプロバイダ) のネットワーク内、関西圏 (赤い円) にあるサーバーです。

測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

ネットワーク環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターとサーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
有効測定 4,027回 4,028回
棄却検定除外 1.29% (52) 0.35% (14)
棄却検定閾値 1.40秒 2.00秒
エラー 0.12% (5) 0.10% (4)
3秒以上 0.07% (3) 0.15% (6)
中央値 0.53秒 0.60秒
平均値 0.58秒 0.66秒
ばらつき/標準偏差 0.16秒 0.27秒
測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態 (混雑具合) が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs' test (α=0.001) により省いています。
生データ (未加工データ) の測定結果は最後に掲載しています。
ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定していることになります。
エラー内容  
動的ページ [5] 502 Bad Gateway [5]
静的ページ [4] 502 Bad Gateway [4]

レスポンスの基準

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱 (データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境 (スマートフォンなど) ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC

ドメインキングの評価

旧サーバーと比較してさらにレスポンス性能が向上しました。わずか 100円/月 でこれだけの性能があれば文句はありません。平均時間は 1秒未満 であり、快適なサイトの条件である 2秒 を大幅に上回ります。これだけのレスポンス性能があれば、訪問者がストレスを感じることはないでしょう。旧サーバーの測定結果は、以下の記事を参考にしてください。

性能的には問題ありませんが、「動的ページ」と「静的ページ」の結果が逆転している点が気になります。普通はPHPやデータベースが動作する「動的ページ」が遅くなりますが、なぜでしょう?前回の測定時は一般的な結果となっています。

おそらくPLESK12となり、サーバーの設定 (初期設定) が変更されたのでしょう。ドメインキングのサーバーは「Nginx+Apache」という構成です。Nginxに対する設定項目はほとんどありませんが、PHPに対するキャッシュ機能が有効となっているようです。キャッシュが有効であればApacheへのアクセスが発生しないため、このような結果となる可能性はあります。HTMLファイルに対してはキャッシュが無効となっているのかもしれません。とは言え、詳細な設定はドメインキングの管理者しか分からないため推測にすぎません。少し変な結果でも「レスポンスは良い」ため気にする必要はないでしょう。

PLESK採用レンタルサーバーでよく見られる「Bad Gateway」というエラーが少し発生しています。発生数が極僅かなので、あまり気にする必要はありません。しかし、エラーが皆無のレンタルサーバーもあるため、評価は利用者次第といったところです。

時間帯による変化はわずかにあります。どのレンタルサーバーでも同じですが、訪問者や利用者が多くなる夜間にレスポンスが落ちます。しかし、レスポンスが悪くなるといっても、その差は僅かであり、元の性能が高いため体感するほどの変化ではないでしょう。棄却検定による除外数は標準的でありばらつきも小さいため、サーバーは安定稼働していると言えます。

非常に良い結果となりましたが、あくまでも当サイトで契約しているサーバーの結果です。どうもドメインキングは他のレンタルサーバーと比較して評価が分かれます。非常に不安定という評価もあれば、全く問題ないという評価もあります。当サイトでも契約当初はひどく不安定な結果を測定しており、収容されるサーバーにより大きな差があるようには感じます。過去の測定結果については下記を参考にしてください。

ロリポップ、バリューサーバーとの比較

  ドメインキング ロリポップ バリューサーバー
有効測定 4,027回 4,032回 4,032回
棄却検定除外 1.29% (52) 1.17% (47) 0.27% (11)
棄却検定閾値 1.40秒 1.15秒 2.30秒
エラー 0.12% (5) 0% (0) 0% (0)
3秒以上 0.07% (3) 0.07% (3) 0.05% (2)
中央値 0.53秒 0.43秒 0.94秒
平均値 0.58秒 0.48秒 1.02秒
ばらつき/標準偏差 0.16秒 0.14秒 0.26秒

料金的に同クラスであれば、「ロリポップ!」や「バリュードメイン」がライバルとなります。ロリポップの場合、下位プランと上位プランで明確な差があるため、より速いスタンダードプランの結果を利用しています。

ドメインキングはロリポップ!より少し遅く、バリューサーバーよりかなり速いという結果となっています。どのサーバーも安定性に問題はなく、ロリポップとバリューサーバーに関してはエラーが皆無です。

ドメインキングは最廉価プランである Pプラン (100円/月) であれば非常にお薦めとなりますが、他のプランは仕様 (機能) と料金のバランスがあまり良くありません。特にデータベース数は他社に劣ります。もし、Pプラン以外であれば他社も検討したほうがよいでしょう。

特に初心者にはおすすめできません。コントロールパネルはPLESKと呼ばれる汎用的なものですが、「操作性が複雑」過ぎます。レンタルサーバーの利用経験があれば、マニュアルと併せて理解できますが。おそらく初心者には理解が困難でしょう。

どのレンタルサーバーにも言えますが、あくまでも「共用」なので、同居人が運悪くヘビーユーザー (利用料金に見合わない使い方をする) であればあなたのサイトにも大きな影響が出ます。評判の悪い書き込みは、このようなサーバーに割り当てられた結果でしょう。

当サイトで契約しているサーバーも契約当初は不安定でしたが、しばらくすると非常に安定するようになりました。おそらく、ヘビーユーザーに対する制限など、対策が行われたのかもしれません。この安定傾向は、PLESK12採用の新サーバーでも変わりません。もし、不安定すぎると感じればサポートにサーバーの変更を依頼してみるとよいでしょう。

比較検討するべきレンタルサーバー

Sプラン以上を検討しているのであれば、ロリポップ (スタンダードプラン) やファイアバードも検討すると良いでしょう。どちらもレスポンスが良く、非常に使いやすいコントロールパネルを備えています。安いレンタルサーバーが目的であればミニバードという選択肢もあります。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

当サイトで測定済みのレンタルサーバーとの比較です。詳細は各リンク先を確認してください。

静的ページのレスポンス順に並べています。

測定結果 (未加工データ)

  動的ページ 静的ページ
3秒以上 0.07% (3) 0.15% (6)
中央値 0.54秒 0.60秒
平均値 0.60秒 0.67秒
ばらつき/標準偏差 0.27秒 0.36秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

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